遺品には家具・家電等の大小様々なものが含まれます。
遺品のすべてをご家族で分別・処分するのは、とても大変な作業です。
最近では、遺品整理を専門の業者に依頼する方が増えています。専門家に頼むことでスムーズに進められますが、その一方で、費用がかさむのも事実です。「一体、誰がその費用を負担するべきなのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
このブログでは、遺品整理の費用を誰が負担すべきかについて詳しく解説し、さらに費用をできる限り抑えるための方法もお伝えします。
遺品整理費用の負担者は誰になるの?
まず、遺品整理の費用を誰が負担するかについて考えてみましょう。
基本的には、遺品整理の依頼者がその費用を負担することになります。多くの場合、相続人が依頼者となり、費用を分担する形です。ただし、遺言などで特定の人物や方法が指定されている場合もありますので、まずは遺言の確認が重要です。
相続放棄したら遺品整理はしなくてもいいの?
相続放棄をした場合、遺品整理の必要があるのかどうか疑問に思う方も多いかもしれません。
相続放棄をした場合の遺品整理の必要性について、詳しく解説していきます。
相続放棄とは?
相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の財産や負債を一切受け継がないという選択です。相続放棄をすることで、被相続人の財産や負債に関する責任を完全に免れることができます。
相続放棄を行う場合は、相続開始から3ヶ月以内に相続放棄の申立書類を管轄の裁判所へ提出することが必要です。
相続放棄したら遺品整理はしなくてもよくなるのか
結論から言えば、むしろ遺品整理を行ってはいけません。遺品整理を行ってしまうと、「単純承認」という方法で遺産を相続したものとみなされてしまいます。もし、故人に借金があったときは、その借金をすべて相続してしまうことになります。
ただし、故人の写真などの明らかに資産価値がないものに関しては、持ち帰ったりしても問題ない慣習になっています。
では、故人の家や土地をそのままにしてよいかというとそういうわけではありません。相続人には「財産の管理継続義務」が発生します。
財産の管理継続義務とは
民法上、次のように財産の管理継続義務が定義されています。
相続の放棄をした者がその放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合には、相続人又は相続財産法人に対して当該財産を引き渡すまでの間、その財産を保存する義務を負う。
民法第940条第1項
財産の管理継続義務が課されるのは、個人の家や土地などの不動産です。
たとえば、故人の家が倒壊し、近隣住民が保安上危険が脅かされる場合などは修繕や解体などの対処が必要になります。もしも、行政からの指導・勧告を継続して改善しなかった場合、相続人に対して50万円以下の罰金が科されます。
財産の管理継続義務を果たすのが難しい場合は、家庭裁判所が選任する相続財産管理人に託すことができます。
具体的には、相続財産管理人は、相続人全員が相続を放棄した場合や相続人が存在しない場合に、相続財産の管理を担当します。自分が相続人として財産の管理義務を負っている場合でも、相続財産管理人を選任することで、その義務から解放されます。
故人が賃貸に住んでいた場合は遺品整理が必要になる場合も
故人が賃貸物件に住んでいた場合、相続人が連帯保証人になっていると、相続放棄をしても賃貸物件に関する責任から免れることはできません。
そのため、賃貸物件の明け渡しの際に必要な遺品整理や修繕にかかる費用は、連帯保証人が負担することになるので注意が必要です。
遺品整理の費用を抑える方法
上記のように、たとえ相続を放棄したとしても、遺品整理をしなければならない場合があります。財産がある場合は、その一部を遺品整理の費用に充てることができますが、財産がない場合は、相続人が費用を負担する必要があります。
ここでは、遺品整理の費用をできる限り安く抑える方法をご紹介します。
自分や家族・親戚など、相続人で遺品整理を行う
遺品整理を自分で行うことで、業者に依頼する費用を抑えることができます。家族や親戚と協力して整理を進めると、作業がスムーズに進みます。
作業のすべてを行うのが難しい場合でも、ご自身でできる範囲で遺品整理を進めて置けばその分費用を抑えることが出来ます。
複数の業者から見積もりを取る
料金は遺品整理業者によって異なるため、複数の業者に無料見積もりを依頼し、比較することが大切です。
また、遺品整理業者とひとことでいっても、「片付け代行業者」「不用品回収業者」「リサイクル業者」「遺品整理業者」など様々な業者が遺品整理を承っています。
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複数の遺品整理業者から相見積もりを取り、料金やサービス内容を比較すると良いでしょう。
買取してもらえるものはしてもらう
遺品の中には、リサイクルショップで買取してもらえるものがあります。不要な物をお金に変えることで遺品整理の費用に充てられます。また、一部の業者は査定も一緒に行っている場合があります。遺品を不用品ではなく買取品として手放すことで負担を大きく軽減できます。
まとめ
遺品整理は大変な作業ですが、上記のコツを活用することで、費用を抑えつつ効率的に進めることができます。家族や親戚と協力し、無理のない範囲で取り組んでみてください。