なかなか経験することがない『遺品整理』
下記のようなお悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
「遺品整理をいつから始めたらいいのかわからない。」
「故人の部屋を放置してしまっている。」
「故人が亡くなったので遺品整理を行いたいけど、どのタイミング始めればいいのか分からない。」
ここでは遺品整理を専門としているプロが、始めるタイミングや進め方について、また失敗しないために気を付けたほうが良いポイントについても解説していきます。
目次
遺品整理を始める適切な時期とは?
遺品整理は、亡くなった方の思い出を整理するための大切な作業であり、心理的・物理的な負担が大きいものです。
遺品整理を始めるタイミングは家族の状況や相続の手続き状況により異なりますが、多くのケースで四十九日以降、相続手続きが終わった後、または相続税申告期限までに行われます。
以下に遺品整理を始める時期を決めるための基準を詳しく解説します。
遺品整理を始める時期を決める3つの基準
葬儀後【亡くなってから7日後~】
葬儀後は多くの手続きや法要の準備が続くため、遺族も忙しい時期が続きます。
手続きの流れとしては、故人の死亡届提出や各種名義変更、さらに健康保険や年金の解約手続きなどがあります。
葬儀が終わり、少し落ち着いた頃に、少しずつ遺品整理に取り組むのも良いでしょう。
あまり早くから遺品に手を付けることが負担になるようであれば、法要が終わり、必要な手続きを済ませた後で始めると良いです。
四十九日が終わった後【亡くなってから49日後~】
四十九日は故人が成仏する節目とされ、日本では多くの家族が四十九日を迎えてから遺品整理を開始します。
遺族が心理的な区切りをつけることができる時期であり、形見分けをするにも親族が集まりやすいタイミングです。
また、急がない場合は四十九日を目安に、必要に応じて身の回りの整理を始めるのが一般的です。
相続放棄の期限前【亡くなってから3カ月後~】
相続には、遺産を全て放棄する「相続放棄」という選択もあります。
相続放棄の期限は、相続開始を知った日(通常は死亡日)から3か月以内と定められており、この間に故人の遺産の調査を行う必要があります。
遺品の中に借金や負債が発覚することもあるため、特に相続放棄を検討する場合は、3カ月以内に整理や確認を済ませる必要があります。
もし期限内に遺品整理が難しい場合は、専門家に依頼することも視野に入れると良いでしょう。
相続手続きが一段落してから【亡くなってから6カ月後~】
相続手続きでは、遺産分割協議などにより、相続人同士での遺産の分配が決定されます。
遺品整理を行う際には、貴重品や価値のあるものが含まれることが多く、相続人全員が納得した形で分配を行うために、相続が一段落してから整理を始めると安心です。
これにより、遺産分割に関するトラブルを避け、スムーズな遺品整理が可能になります。
相続税の申告期限に間に合わせる【亡くなってから10カ月後~】
相続税の申告期限は、故人の死亡から10か月以内と決められています。
この期限までに遺産の評価を終え、相続税を申告しなければなりません。遺品整理を通じて、遺産を明確にして財産の評価をすることが必要です。
相続税の申告には期限があるため、遺品整理を進めて財産目録を整え、申告を確実に行えるように準備することが推奨されます。
遺品整理を先延ばしにするとどうなる?
遺品整理は心身の負担が大きいため、つい後回しにしてしまいがちです。しかし、遺品整理を先延ばしにすることは、空き家管理や火災リスク、さらには家賃や税金の負担増といった、さまざまな問題や負担を招く可能性があります。
以下で具体的なリスクと注意点を解説します。
空き家管理のコストや火災リスク
遺品整理を先延ばしにして空き家状態が続くと、固定資産税や火災保険、管理費などのコストが発生します。
特に長期間放置されると、空き巣の被害や不法侵入、火災のリスクも増加し、家や周辺の安全が脅かされることもあります。
さらに、特定空き家に指定されると固定資産税が6倍に引き上げられることがあり、経済的負担も大きくなります。
賃貸物件の場合は家賃の支払いが続く
故人が賃貸物件に住んでいた場合、遺品整理が終わるまで家賃が発生し続けます。賃貸契約上、退去の手続きと遺品整理が完了しなければ、毎月の家賃支払いは免れません。
特に賃貸物件は契約更新があるため、遅延すればするほど家賃が重なる恐れがあり、早急に手続きを進めることが求められます。
他の遺族による処分のリスク
遺品整理を先延ばしにすることで、遺品が他の遺族や親族によって勝手に処分されてしまうリスクもあります。
価値のある遺品や故人の思い出の品を残したい場合、他の家族と事前に相談し、整理の時期を話し合っておくことが重要です。
特に相続の観点から、重要な書類や高価なものが含まれる遺品は相続人全員の同意を得て適切に扱うようにしましょう。
遺品整理のタイミングを決める際に考慮すべきポイント
遺品整理をいつ始めるべきかを決めるには、家族や親族の心情を尊重しつつ、実務的な要素も考慮することが大切です。ここでは、遺品整理のタイミングを判断する際のポイントを解説します。
法要や親族の集まりの機会を利用する
遺品整理は、法要や親族の集まりのタイミングを利用すると進めやすくなります。
例えば、四十九日や一周忌など、故人を偲ぶために親族が集まる機会は、自然と遺品整理を始めるきっかけとなることが多いです。親族が集まることで、思い出の品を形見分けしたり、遺品の処分について話し合うことができます。
遺族や親族と相談しながら進める
遺品整理を行う際には、遺族や親族と相談して進めることが大切です。
特に、相続や形見分けに関する意向がそれぞれ異なることがあるため、整理前にしっかり話し合うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。事前に相談することで、貴重品や特に重要な品物に関しても全員が納得できる方法で整理が可能です。
遺品整理の始め方と具体的な流れ
遺品整理は、計画的に進めることでスムーズに行うことができます。
以下は、一般的な遺品整理の流れと各ステップの詳細です。
遺品整理の基本的な流れ
形見分けを行う
まず、親族間で形見分けを行い、故人の思い出や大切な品を各人が受け取ることが一般的です。形見分けを行うことで、遺品整理が心理的にも進めやすくなり、必要なものと処分するものを明確にできます。
処分方法を決める(リサイクル、売却など)
形見分けが終わったら、不要な遺品の処分方法を決めます。
リサイクルショップやフリマアプリを利用することで、まだ使える物を有効活用できます。また、リサイクルが難しいものは、自治体のルールに従って処分します。適切な処分方法を事前に確認しておくと良いでしょう。
専門業者を利用するメリット
遺品の量が多い場合や大型の処分が必要な場合、専門の遺品整理業者に依頼することで、作業の負担が大幅に軽減されます。
遺品整理業者は、迅速に作業を行うだけでなく、適切な処分方法やリサイクル手段も提案してくれるため、効率的に整理が進められます。
遺品整理を業者に依頼するべきタイミング
遺品整理は必ずしも業者に依頼する必要はありませんが、状況によっては専門業者に頼ることでスムーズに進められます。
以下に、業者に依頼するタイミングとポイントをまとめます。
遺品整理業者の選び方と依頼する際のポイント
貴重品や高価な遺品の確認
遺品整理を始める前に、貴重品や高価な品物を確認し、形見分けとして親族が保管するか、相続の対象にする必要があります。
遺品の中には、相続財産として評価されるものもあるため、価値のある品物は事前にチェックしておくことが重要です。
業者への相談のタイミングと費用の目安
業者に相談するタイミングとして、遺品の量が多く自分たちでは整理が難しいと感じた時が最適です。
また、費用は遺品の量や作業内容によって異なりますが、見積もりを依頼して事前に費用を確認すると安心です。多くの業者が見積もりを無料で提供しているため、複数の業者を比較し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
賃貸物件や持ち家の遺品整理で注意すべき点
遺品整理は賃貸物件か持ち家かによって進め方が異なります。
それぞれに合わせた手続きを確認し、無駄なコストやトラブルを避けるために注意点を抑えながら進めましょう。
賃貸物件の場合の注意点
賃貸物件では、故人が退去する前に契約解除の手続きや部屋の引き渡しをスムーズに行うことが大切です。
退去手続きと契約満了までにすべきこと
賃貸物件の遺品整理では、まず管理会社や大家と連絡を取り、退去に関する手続きを進めましょう。
賃貸契約が解除されるまで、家賃は発生するため、早急に部屋の整理を終え、契約解除を完了することが望ましいです。
また、退去日までに必要な清掃や修理が求められる場合もあるため、事前に確認して対応します。
遺品整理が長引くと家賃が追加で発生する可能性もあるため、迅速な対応が重要です。
持ち家の場合の注意点
持ち家の場合は、家の所有権に関する手続きや将来的な活用方法を考慮する必要があります。
不動産売却や賃貸を考慮するタイミング
持ち家の遺品整理では、相続後に売却や賃貸に出すかを決めることが多いです。
遺品整理を通して家の中を空にしておけば、売却や賃貸がスムーズに進みます。
不動産を売却する場合は査定や手続きに時間がかかるため、早めに遺品整理を完了し、不動産業者への連絡を始めると効率的です。
また、家屋に残る価値ある遺品については、親族で相談して形見分けを行いましょう
遺品整理を計画的に行うためのスケジュール作成
遺品整理をスムーズに進めるためには、計画的なスケジュール作成が不可欠です。
以下のポイントを考慮し、段階的に進めることで負担を減らしましょう。
遺品の量で分けて計画を立てる
まず、故人の遺品の量や種類に応じて計画を立てることが重要です。
少量の場合は短期間での整理が可能ですが、多量の遺品や大型の家具が含まれる場合には、いくつかのステップに分けて整理を進めると効率的です。
また、リサイクルや売却が必要なもの、遺族間で形見分けを行うものを事前に分けておくと、全体のスケジュールが立てやすくなります。
作業負担を減らすための工夫
遺品整理は心身に負担がかかる作業ですので、無理なく進めるために工夫を取り入れましょう。
たとえば、大型の処分が必要な場合には、専門の遺品整理業者や不用品回収業者に依頼することで、作業が大幅に軽減されます。
また、整理に必要な道具やトラックの準備も、事前に手配しておくとスムーズです。作業日を分けて計画的に進めることで、途中での中断や疲労を避けることができます。